マーケターの視点で自分の研究をアピールするためのSEO対策

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昨今の研究は、紙媒体よりもインターネット上で公開され、人々に読まれる機会の方が圧倒的に多数です。そこで、デジタルマーケティングの担当者と同じテクニックを使うことで、研究が人々の目に留まるチャンスを高める事が出来るのです。検索され、目に留まれば、読まれる可能性が開け、さらには引用へと繋がるのです!

もし論文やアイデアが他の研究者たちの目に留まれば、研究の影響力(インパクト)が高まり、研究者としてのキャリアアップの可能性が高まります。

ここでは、検索エンジン最適化(SEO)を使って、人々に科学について伝える方法をご紹介します。

学術出版における検索エンジン最適化

検索エンジンでウェブサイトが上位に表示されるように工夫するのと同様に、論文も検索で見つけてもらいやすくすることが可能です。これが検索エンジン最適化、すなわちSEO対策です。ウェブサイトのSEOと比べると、論文のSEOは非常にシンプルです。

学術論文のSEO対策は、人々が検索の際、使いそうな単語やフレーズを使うことです。個人や企業のウェブサイトと違い、フォーマットやリンクなどによる最適化はほとんど望めません。

論文のタイトルやアブストラクト、およびキーワードに最も関連性の高い単語やフレーズを含めることで、より高い確率で読者が論文を検索できるようにします。その際、最適化を意識しすぎて不自然にならないように気をつけます。可能な限り自然な形で最適化を行いましょう。

論文に関連性の高い単語やフレーズを考えるには、読者がどのような用語を入力して(論文の)検索をするか考えてみるといいでしょう。このような用語を簡単に特定するには、2つの方法があります。

Google Scholar(グーグル・スカラー)でキーワードを検索する

Google Scholarは、Googleが提供する学術用途検索サービスで、キーワードを入力し、表示された検索結果の数がどれくらいあるか、それらのコンテンツが入力したキーワードとの関連性が本当に高いかを確認することが出来ます。その際、キーワードとして入力したのと同じ意味をもつ用語が、別の書き方をされている可能性も考慮します。

例えば、“socioeconomic attributes” と入力した場合の検索結果は、“socioeconomic traits”で検索した場合に比べ、8倍ヒットします。これら2つの言葉は、一般的には同じ意味を指しますが、検索結果から、前者がより浸透していることを意味しています。したがって、SEOの観点から考えると、論文で使用する際は、前者が適していると言えます。

通常のGoogle検索でも同じことが出来ますが、検索結果には膨大な数の、あらゆる種類のウェブサイトが含まれる他、 キーワードが全く別のものを意味してくる場合があるので注意しましょう。

キーワードツールを活用して(キーワードを)探す

どのキーワードを使うか、AhrefsSemrushなどの市販のキーワード検索ツールを使うことも可能です。これらは高価なマーケティングツールですが、通常、無料または廉価なトライアル版を提供しています。その他にも、無料のキーワードツールもたくさんあります。無料のツールは入れ替わりが激しいため、ここでは例を上げませんが、Googleで、「キーワードツール」を検索し、いくつか試して、自分に合ったものを見つけてみてください。

ただしこれらのツールは、一般的にGoogleのデータに基づいており、おおよその(キーワードの)提案でしかありません。そのため、実際の正確なデータとしてではなく、トレンドを確認するのに適しています。

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読者が検索しているものは何であり、どのように検索するか

論文のタイトルは、人々がそれを読むかどうかに最も大きな影響を与えます。ニュース記事の見出しと同じような役割を果たすと考えると、分かりやすいのではないでしょうか。

その中でも、最初の50文字(10単語程度まで)が最も重要です。フェイスブック(Facebook)のフィードと同じように、最初の数単語が表示されると考えます。スマートフォンやタブレットで論文や記事をスクロールして読む人が増えているので、それらを考慮して目に留まりやすく工夫する必要があります。

アブストラクト(Abstracts)

アブストラクトには通常、ジャーナルによって厳しい字数制限がありますが、効果的に書けているアブストラクトには、典型的な読者が検索しそうなキーフレーズがすべて含まれています。可能であれば、その中で最も重要な単語やフレーズを、アブストラクトの中で少なくとも2回繰り返すと良いでしょう。

しかし、キーワードを不必要に繰り返し、キーワードを詰め込み過ぎないように注意します。検索ランキングの上位に表示されるように思うかもしれませんが、実際は効果がないどころか、逆に妨げとなる可能性があります。検索エンジンのアルゴリズムは、検索者が求める問いに最も合致し、自然で、正確な英語を求めています。

キーワード(Keywords)

キーワードは、軽く閲覧しているだけの読者をひきつけることが出来ます。もしかすると、専門分野外の読者かもしれませんが、それでも重複する部分があり、関心を持つ場合があります。例えば、(あなたの論文が)複数の研究分野の人々が広く関心を持つような、特定のタイプの分析や、方法論を使用した場合などです。.

あるいは、専門分野以外の人が興味を持つような地域に関するデータを発表することもあるでしょう。適切に選択されたキーワードは、そのような読者が論文を見つけやすくするでしょう。

参考文献(References)

関連性があり、適切な参考文献を用いることで、人々が論文を見つけるのに役立ちます。 多くのディレクトリ広告検索ツール(Google ScholarPubMedなど)では、引用履歴の検索が可能です。つまり、特定の出版物に興味を持った人は、その論文を引用したすべての論文を検索することが可能になるのです。

SEOにキーワードを使用するための更なるヒント

  • 論文のタイトルの最初の2-3語には、(論文の)具体的な主題となる言葉を使う。
  • 同義語となるキーワードを含める(例:“alien”と“invasive”、“folic acid”と“vitamin B9”など)。
  • 同じトピックの包括的な用語を含める(例:“global warming”と“climate change”など)。

SEOを使って、出版後のリーチを広げる

SEOでは、あるサイトが別のサイトにリンクすることを「バックリンク( backlinks)」と呼びます。信頼できるサイトからのバックリンクは、(1)読者が他の記事などを読んでた時に、別の記事など(ここでは、あなたの論文)に誘導し、(2)検索エンジンで上位にランクされる可能性を上げます。

バックリンクは、マーケティングの観点から考えると、より複雑な要素だと言えます。研究では、信頼できるウェブサイト(主要なニュースサイトや、教育機関など)からのリンクは、検索エンジンにおけるその論文の価値を高めることになります。つまり、検索エンジンで上位にランクされる可能性が期待できるのです。

バックリンクを作成したり、逆にバックリンクされるようにする方法は様々です。例えば、次のような方法が挙げられます。

  • 研究成果を、TwitterLinkedInなどのソーシャルメディアに投稿したり、Academia.eduResearchGateなどの学術的なソーシャルメディアサイ卜から自分の研究へリンクするのも有効です。そうすることで、読者に論文を見つけてもらい、引用やリンクしてくれることが期待できます。
  • 科学的なプレスリリースを作成して掲載します。これは、研究成果をより分かりやすい言葉で要約して、ジャーナリストや一般の人もアクセスできるようにすることで、より多くの人に広く知ってもらう効果が期待できます。著者や、その所属機関の広報がEurekAlertなどのオンラインのプレスリリースに研究成果を掲載した場合、リンクが貼られます。さらに、雑誌や新聞、ウェブサイトなどの他のメディアから研究成果について取り上げられたり、バックリンクを得られることで、注目度はさらに上昇するでしょう。

    所属機関にプレスリリースの発行があるか、広報に問い合わせると良いでしょう。研究成果を効果的に広めるには、正確で読みやすい英語で書かれたプレスリリースが不可欠です。エダンズでは、英語版プレスリリース作成サービス を提供しています。研究成果を国際的にアピールしたい場合は、お気軽にご相談ください。

  • 自分のウェブサイトを開設し、きちんとメンテナンスをするのもおすすめです。独自のドメイン(.comなど)を取得し、ワードプレス(WordPress)などの簡単なコンテンツ管理システムを使うことで、ウェブサイトの開設がこれまで以上に簡単に出来るようになりました。自分のウェブサイトを、単にオンラインポートフォリオとして使うことも出来ますし、自分の考えをブログに書くなど、自由に拡張することが出来ます。
    研究室に所属している場合は、個人ではなく研究室のページの作成を検討しても良いでしょう。どちらの方法でも、自分や同僚の論文を掲載するためのリソースが得られます。つまり、研究成果へのリンクが増えることで、Googleなどの検索エンジンで上位にランクされる可能性が高まるのです。

この記事では、研究者としての視点だけでなく、ほんの少しマーケターの視点を持つことで、読者数や引用数の向上に繋がるSEO対策についてご紹介しました。現在執筆中の方も、これからの方も、ぜひ試してみてください!

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