英文校正 英文校閲 研究者向けサービス
0120-554-685

高い研究レベルに見合った、科学英語で論文を書く簡単な方法

高レベルの研究を発表する際に求められるのは、完璧な科学英語で確実にメッセージを伝えること。ネイティブか否かに関わらず同じ条件が求められる中、いかに対策し、即リジェクトを回避するかをエダンズの経験豊富なエキスパートが丁寧に解説します。

科学論文を執筆して出版することは、例え英語を母国語とする著者でも、かなりの苦労を伴います。

それが英語を母国語としない著者になると、さらに大きな挑戦となるのはなおさらです。研究そのものの科学的な内容よりも、英語の良し悪しが、出版機会の可否を左右することもあるかもしれません。自分の科学をどう伝えるかが重要な論文においては、ほぼ完璧な英語で確実にメッセージを伝える必要があるのです。
こちらでは、ネイティブのエキスパート達が、専門分野の最新研究論文をわずか4分の短い時間で語っています。ぜひご参考にされてください。)

出版スペースの制限が厳しくなり、エディターへの時間的負担が高まる中、多くのジャーナルが言語スクリーニングを利用して、エディターの元に届く前に投稿論文をチェックしています。そんな状況下において、英語を母国語とする著者と同様に、論文を英語で執筆し、投稿して、出版を勝ち取らなければならないのです。

一部のエディターは、例えば、無終止文が出てきたり、あるいは文法に従っていない文章が出てきた時点で、英語の文章がしっかり書けていないと感じ、査読に回さずに論文を即リジェクトしたり、あるいは英文校正に出すように「定型の」メッセージを送ったりするのです。 もし、その様なメッセージを受け取ったら、ぜひエダンズの専門家チームによる英文校正サービスを思い出してください。厳しい審査を通過した、経験豊富で専門性の高い、エダンズのネイティブ校正者が、科学論文にふさわしい英語にブラシュアップをお手伝いいたします!

しかし、仮に英語が完璧でないとしても、科学文書執筆でよく見られる言語エラーを避けることで、文章が改善され、結果として論文が採択される可能性を高めることも可能です。

研究者の立場で考える

執筆プロセスでは、実験を行う時と同じような考え方をします。実験では、コントロールを使って別の仮説を排除しています。執筆においては、読み手が容易にかつ正確に理解できるように書き、複数の解釈が生じることがないようします。

言語を使ってメッセージを明確に伝えるためには、曖昧さや不必要な文章は避けなければいけません。

そのためには、科学文書では以下の「3つのC」が必要です。

  • Clarity (明確さ)ー 明確であること
  • Conciseness (簡潔さ) ー 必要以上に冗長でなく、簡潔であること
  • Correctness (正確さ)ー 正確であること

これを満たすには、できるだけ簡潔かつ具体的に書く必要があります。しかし、著者であるあなたが書きたいことを、読み手が理解する上で役立つ重要な詳細事項は、省略することができません。

言い換えると、自分のメッセージを正確に伝えるために必要なこと以外は書かないようにするということです。

なぜよく書けていないのか?文章が不足しているのではなく、実は、書き過ぎかも?

「3つのC」が満たされていない文章は、「退屈」で「いい加減」などと表現されることがありますが、多くの場合、文章が不明確であいまいであることに著者が気づいていないことが原因です。つまり、論文には、多くの情報を詰め込み過ぎているか、またはすべての詳細を書こうとしている可能性があるのです。

Is your writing sloppy or just too wordy?

そのように考えると、自分が執筆した論文が、どのくらいの影響力を持つか理解することが極めて重要となります。そのためには、他の人の意見を聞いたり、自分の論文を読者の立場で注意深く読み直したりすることが必要です。

“Journal editors, overloaded with quality manuscripts, may make decisions on manuscripts based on formal criteria, like grammar or spelling. Don’t get rejected for avoidable mistakes; make sure your manuscript looks perfect.”質の高い論文を過剰に抱え込んだジャーナルのエディターたちは、文法やスペリングなどの形式的な基準に基づいて論文の採択の可否を判断してしまう可能性があります。回避可能なミスでリジェクトされないよう、投稿前に可能な限り完璧な論文にしておきましょう」

–quote from a senior executive at a large international publishing house 
(国際的な大手出版社のシニアエグゼクティブの発言から引用)

よくある間違いはここに書ききれないほどたくさんありますが、特に英語を母国語としない著者たちが犯しがちな、最もよく見受けられるミスをまとめました。参考にしていただけると幸いです

尚、これらはすべて、「3つのC」の基準を満たしていません。常に「3つのC」に立ち戻り、参照してください。

タンパク質と遺伝子の命名

混乱の原因で非常によく見られるものの一つは、遺伝子、そのmRNA、あるいはそれらにコードされたタンパク質のレベルの変化を説明するために、誤った命名を使用してしまうことです。

遺伝子の発現量の説明とタンパク質の発現量の説明が絶えず何度も入れ替わってしまうことも、混乱に拍車をかけます。特に、これらの名称が同じ場合がよくあるからです。

何のレベルの話をしているのか、読み手に対して完全に明らかにする必要があるのです。

適切な用語の使用

命名法は生物種により異なりますが、一般に、遺伝子名は斜字で記述します。タンパク質名は通常のフォントで記述します。

大文字と小文字は、しばしば、生物種を区別するために用いられます。一般に、マウス、ラット、ニワトリの遺伝子名は、最初の1文字を大文字にして、残りを小文字で表記します。ヒト、霊長類、一部の家畜種では、遺伝子名はすべて大文字です。

protein and gene nomenclature – Edanz

mRNAを記述するには、通常は、遺伝子名を使用します「p53 mRNAのレベル(levels of p53 mRNA)」。あるいは、そのmRNAを、あるタンパク質の「ための(for)」ものと表現することもでき、その場合「p53のためのmRNAのレベル(levels of the mRNA for p53)」となります。

「発現(expression)」という用語は、通常、遺伝子発現を説明するために用いられ、タンパク質やmRNAのレベルを説明するために使うと混乱を招く可能性があります。

通常、タンパク質のことを言う場合は、「発現(expression)」を「レベル(levelまたはlevels)」に置き換えるだけで済みます。

自分が研究対象としている生物種の正しい命名法を知っておく必要があります。そして、本文中でタンパク質、遺伝子、mRNAの名称に言及する場合はいずれも、これらのうちのどれを指しているのかが完全に明確になるようにしておきましょう。

Example:

  • 「私たちのトランスジェニックマウスではIgf1遺伝子の発現が増加していた」 ー 斜字と「遺伝子(gene)」という単語を使うことで、すべての混乱の可能性が排除されます。
  • 「私たちの患者群ではIGF1 mRNAレベルが上昇していた」 - この文章は、ヒト遺伝子の正しい命名法を使用しています。
  • 「トランスジェニックマウスでは血清IGF1レベルが上昇していた」 ー これがタンパク質を指していることは明らかです。これがマウスタンパク質の正しい命名法のため、この場合は種がマウスであっても、大文字を使うのが適切です。

比較

比較は、結果の章で頻繁に行われます。ここでは、「同類同士」を比較することが特に重要となります。

非ネイティブの著者たちがよく犯す間違いは、この簡単なルールを見落として、読み手に何を比較しているのかを推測させてしまうことです。

  • うまくいけば、言葉は不自然に見えても、意味は明確です。
  • 最悪の場合、読み手は間違った意味に受け取ってしまいます。

例えば、「We compared expression levels of p53 in smokers with non-smokers(私たちは喫煙者のp53発現レベルを非喫煙者と比較した)」という文章は、実際は、「We compared expression levels of p53 in smokers with those in non-smokers(私たちは喫煙者のp53発現レベルを非喫煙者のものと比較した)」とすべきなのです。

比較でよくあるもう一つの間違いは、相対的な用語(higher, greater, moreなど)を、比較対象なしに使ってしまうことです。「transgenic mice showed higher levels of cortisol(トランスジェニックマウスは、より高いコルチゾールレベルを示した)」という文章は、これらのレベルが何と比べて高かったのかが不明です。つまり、「than control mice(コントロールマウスと比べて)」というようなthan節が必要なのです。

読者が自動的にそのように推測してくれるかもしれませんが、間違った推測をしてしまう可能性もあり、望ましくありません。正確な科学文書は、すべての推測が排除されることを目指すものです。つまり、何を比較しているのかを正確に読み手に伝えなければいけません。結果の比較は、その解釈に、そして究極的にはその意義に関わる非常に重要なものだからです。

最後に、2つの知見を比較する場合は、「between」という単語を使う必要がありますが、3群以上の比較には「among」を使う必要があります。覚えておいてください。

Example:

  • 「The levels of ubiquitinated proteins were higher in patients than in control subjects.(ユビキチン化タンパク質レベルは、患者の方が、コントロールの被験者よりも高かった)」この文章では、than節が「より高い(higher)」という用語の比較対象を提供しています。
  • 「The levels of ubiquitinated proteins in patients were higher than those in control subjects.(患者のユビキチン化タンパク質レベルは、コントロールの被験者のものよりも高かった)」最初の例では、patients(患者)とcontrols(コントロール)が比較用語の同じ側にありました。つまり両方とも「higher(より高い)」の後に記載されていました。それとは異なり、この例では、patients(患者)とcontrols(コントロール)が比較用語の両側に分かれています。したがって、同類同士を比較するために、「than those(~のものより)」を加える必要があります。
  • 「There was no significant difference in the levels of ubiquitinated proteins between patients and controls(患者とコントロールの間でユビキチン化タンパク質のレベルに有意差はなかった)」。ここでの2つのグループを比較する単語「between」は適切です。
  • 「There were no significant differences in the levels of ubiquitinated proteins among AD patients, PD patients and controls(AD患者、PD患者、コントロールの間で、ユビキチン化タンパク質のレベルに有意差はなかった)」。「among」という単語は、3つ以上のグループを比較する場合に適切です。ここでは、「differences(「差」が複数形)」に変更されていることに注意してください。3群以上の比較では2種類以上の差が出る可能性があるからです。

無料 e-book

Effective English Writing

本PDFには、国際ジャーナルでの出版を目指す方が従うべき執筆のルールや、ジャーナル編集者や査読者を含む読者たちの興味をひき、最後まで魅了し続けるための手法や、知っておくと便利なコツなど、役立つ情報が満載です。エダンズのPDFは、現役のジャーナル編集長や査読経験者、および国際ジャーナルでの多数の出版経験を持つ各分野の専門家たちが、それぞれの専門知識や経験を活かして、作成し提供しています。

Respectively(それぞれ)

英語を母国語とするか、そうでないかに関わらず、著者は「respectively(それぞれ)」と言う単語をよく誤って用います。

これまでのトピックと同様、この誤用は、混乱や曖昧さを招く可能性があり、「respectively(それぞれ)」を全く使わない方が明確になる場合が多いのです。しかし、2つの対応表がある場合に、より少ない単語で記述するのに有効な場合あります。

「respectively」を正しく使う

Respectivelyは、「The latencies to withdrawal from a painful stimulus in control and transgenic mice were 3 s and 2 s, respectively(痛覚刺激から後退するまでの反応時間は、コントロールマウスとトランスジェニックマウスで、それぞれ3秒と2秒でした)」という文章では、かなり有効で、コントロールマウスは3秒後、トランスジェニックマウスは2秒後に後退したという意味になります。

「average weights(平均体重)」のように、「The latencies to withdrawal from a painful stimulus(痛覚刺激から後退するまでの反応時間)」よりはるかに短いものを記述する場合は、「respectively(それぞれ)」を使う必要はありません。「Control mice weighed 20±3 g and transgenic mice weighed 17±2 g(コントロールのマウスの体重は20±3 gで、トランスジェニックマウスの体重は17±2 gでした)」の方が、1単語多い「Control mice and transgenic mice weighed 20±3 g and 17±2 g, respectively(コントロールマウスとトランスジェニックマウスの体重は、それぞれ20±3 gと17±2 gでした)」よりも良いと言えます。

「respectively(それぞれ)」は、一度に2つの対応表に言及する場合に限って使用でき、それを越える数に言及する場合は使用できないことに注意が必要です。

したがって、「The latencies to withdrawal from 5 g and 10 g painful stimuli in control and transgenic mice were 3 s and 2 s, respectively(コントロールマウスとトランスジェニックマウスの5gと10gの痛覚刺激から後退するまでの反応時間は、それぞれ3秒と2秒でした)」という文章は誤りで、読者が理解することは不可能です。

Example:

  • 「The proportions of monocytes positive for CD163, CD7 and CD11a were 45%, 63% and 70%, respectively(CD163、CD7、CD11aに陽性の単球の割合は、それぞれ45%、63%、70%でした)」。この文章では、3つのパーセンテージが3つのマーカーのそれぞれにその順番で対応することを、「respectively(それぞれ)」という単語が明確にしています。

コンマ、ハイフン、関係代名詞の「which」

これら3つの文書の要素は、使い方を誤ると、あなたの文章に曖昧さが生じて誤解を招く可能性があります。

コンマとハイフンを使う

「Because Aβ42 levels were elevated in 75% of AD patients in studies using our method [6,7], it is critical to obtain fresh samples(私たちの方法[6,7]を用いた研究では、AD患者の75%でAβ42レベルが上昇していたので、新鮮なサンプルを得ることが非常に重要となります)」という文章で、「method(方法)」の後のコンマを「patients(患者)」の後に移動する(あるいはそこに新たにコンマを加える)と、意味が完全に変わってしまいます。

同様に、「calcium-induced calcium release(カルシウムが誘導するカルシウムの放出)」では、ハイフンを取り除くと文章の意味が完全に変わってしまいます。ハイフンがあると、「calcium-induced(カルシウムが誘導する)」は、名詞「calcium release(カルシウムの放出)」を修飾する複合形容詞になります。ハイフンがないと、「induced(誘導した)」は、カルシウム放出に対するカルシウムの作用を説明する動詞になります。

したがって、このような複合形容詞には、誤解を避けるために、ハイフンを使用することが非常に重要となります。しかし、副詞と形容詞を組み合わせる場合はハイフンは不要です。例えば、「highly intense staining(非常に強い染色)」と「high-intensity staining(高強度染色)」はともに正しく、「highly-intense staining」は誤りです。

「-ly 副詞」とハイフンに関する誤解は、ネイティブスピーカーでも頻繁に見受けられますし、大手の出版物でも見かけます。しかし、だからといってそれが正しいことにはなりませんので、ご注意ください。

Example:

  • 「Glutamate receptors mediated synaptic plasticity…(グルタミン酸受容体がシナプス可塑性を媒介した)」は、Glu受容体がシナプス可塑性の確立に関与していることを読み手に伝えています。
  • 「Glutamate receptor-mediated synaptic plasticity…グルタミン酸受容体が媒介するシナプス可塑)」では、「synaptic plasticity involving Glu receptors(Glu受容体が関与するシナプス可塑性)」が、この文章の主語になっています。ここでは、「receptor(受容体)」が複数形から単数形に変更されていることに注意してください。ひとつの受容体を指しているのではなく、一般的な意味で用いられているからです。

関係代名詞の「which」を使う

「which」という単語も、使い方を間違えると、多くの無用な混乱を招く可能性があります。これは「that」という単語と混同されがちです。

どちらの単語も名詞を修飾する節を導入しますが、「that」は制限用法の関係詞節を導入する際に使い、「which」は非制限用法の関係詞節を導入する時に用います。

例えば、「the sections that were positive for GFP were subjected to cell counting procedures(GFP陽性の切片を細胞計数に供した)」の「that」は、どの切片を細胞計数に供したかを正確に定義する制限用法の関係詞節を導入しています。

それに対して、「the sections, which were positive for GFP, were subjected to cell counting procedures(その切片は、GFP陽性で、それを細胞数測定に供した)」では、細胞数測定に供した切片が、やや緩く定義されています。これは恐らく、直前の文章か、あるいは少し前の文章で説明した切片を指していると思われます。GFP陽性に関する節は、読み手に追加的な情報を与えますが、文章の意味を理解する上で不可欠なものではありません。

「which」はこのように使われるため、「which」が実際に何を指しているのかが、完全に明確になるようにしておきましょう。それが何であれ、直前のもの(これが最も一般的)を指しているかもしれませんし、文章全体の主語を指している可能性もあります。

例えば、「microglia migrated to the site of the lesion, which was associated with increased levels of ED-1(ミクログリアは病変部位に移動し、それはED-1レベルの上昇と関連していた)」という文章は、やや曖昧です。この「which」が「lesion(病変部位)」を指しているのか、または「migration of microgli(ミクログリアの移動)」を指しているのか、不明確だからです。

このような種類の文章で、疑問に感じることがあれば、完全に言い換えてしまうと良いでしょう。疑問は排除すべきで、曖昧さを避けるため、ミクログリアに関する文章は、「migration of microglia to the site of the lesion was associated with increased levels of ED-1(ミクログリアの病変部位への移動はED-1レベルの上昇と関連していた)」、あるいは「microglia migrated to the site of the lesion, and immunohistochemical analysis revealed increased levels of ED-1 at this site(ミクログリアが病変部位に移動し、免疫組織化学分析により、その部位のED-1レベルが上昇していることが明らかになった)」と書き換えることができます。

use that or which?

U.K. vs. U.S. では、こんなに違う!thatとwhichの使い方

先ず、イギリス英語では「that」の代わりに「which」が日常的に使われ、会話英語において、これら2つは互換性があることが多いと覚えておくことが重要です。

例えば、イギリス英語では、「Use methods which lead to accurate results(正確な結果を導く方法を使いなさい)」のような文章をよく見かけます。そして会話では、「These are the things which we must be careful about(これらが、私たちが気をつけなければならないことです)」のようなものを耳にするでしょう。

よく聞くからと言って、正しいとは限りませんが、周囲の人の文法を直して回ったら、皆に嫌われるだけでしょう。

地域ごとに変化した英語があってもいいでしょうし、そのような場合は多少ルールを「破って」もいいでしょう。ただし科学英語では別です。読み手に一切の疑問も抱かせてはならないからです。つまり、科学英語は正確でなければいけないのです。これは、サイエンスコミュニケーションを行う上で非常に重要なことです。では、科学英語の具体例をいくつか紹介します。

Example:

  • 「Data were normalized to the housekeeping gene actin, which was used as an internal reference…(データを、内部標準として使用したハウスキーピング遺伝子のアクチンで正規化した)」。ここでは「which」がアクチンを指すので、これが直後の節の主語になります。
  • 「Data were normalized to the internal reference housekeeping gene actin, revealing increases in the levels of…(データを内部標準のハウスキーピング遺伝子のアクチンで正規化したところ、レベルの上昇が明らかになった)」。「To later」は解析データを指すので、「which」は不適切で曖昧だと言えます。

冠詞:単数形 vs 複数形

日本人が間違いがちな文法に、冠詞(a, an, the)の使い方があります。冠詞は名詞を修飾する形容詞で、これらの使い方を間違えると、読み手は特定のものを指しているのか、または非特定の事項や分類を指しているのか、疑問に思うかもしれません。

最悪の場合、読者は文章を間違って解釈して、間違った思い込みをする可能性があります。

また、冠詞の誤用も、単数形と複数形の違いに関連した混乱を招く可能性があるので、注意してください。

どの冠詞を使うべき?

定冠詞「the」は、特定の事項または事項群を指す(複数形または単数形の)名詞に連結して使用します。

例えば、「the sections were then stained with H&E(その切片をH&Eで染色した)」は、少し前の文章で言及した切片を染色したことを意味します。

これに対して、不定冠詞「a」は、非特定名詞に連結して使用します。

例えば、「a section was then stained(次に、切片を染色した)」は、ひとつの任意の切片が染色されたことを暗示しています。「a」は、ひとつの事項または分類を指す場合にのみ使用すべきで、複数名詞と連結して使用してはいけません。ですので、「a sections」と言うのは誤りです。

日本人を含めたアジア人の著者は特に、文章で冠詞を省くことが多いので、不自然でおかしな文章になりがちです。「adenovirus was injected into the fourth ventricle(アデノウィルスを第4脳室内に注入した)」の「the」を省してしまうと、そのようなことが起こってしまうのです。

多くのアジアの言語は、冠詞がなかったり、単数形と複数形の違いがなかったりすることが少なくともその理由の1つであるため、これらをネイティブ同様に使いこなすのは大変なことですし、実際何年かかっても習得できない人もいます。だからこそ英文校正が必要なのです。

Example:

  • 「The antibody was injected into the hippocampus…(抗体を海馬の中に注入した)」の2つの定冠詞は、恐らく既に本文中で言及された「特定の抗体」と、既に記載された実験対象の「特定の海馬」を指定するために必要です。
  • 「A new method of extraction was devised…(新規な抽出法を考案した)」で、「the」ではなく「a」が使われているのは、この記述が読み手にこの方法を紹介するものであって、その時点では非特定だからです。一旦読者に紹介した後で、その方法に言及する場合は、特定する形の「the new method of extraction(新規の抽出法)」を使う必要があります。

単数形、それとも複数形?

ご存知の通り、名詞を複数形で使う場合は最後に「s」をつけます(ほとんどの場合ですが、すべてではありません)。当然知っているという方が多いと思いますが、実はこれも日本人の著者に非常によく見られるミスなのです。

comparisons in scientific English – Edanz

冠詞がない場合、複数形と単数形が誤用されているかどうかが不明な場合があります。例えば、「Acetyl group was added(アセチル基を付加した)」という文章では、読者は、著者が「An acetyl group was added(ひとつのアセチル基を付加した)」と言いたいのか、または「Acetyl groups were added(複数のアセチル基を付加した)」なのか分かりません。

このように複数の事項に言及する時には、混乱を避けるために複数形を使用します。著者たちは、特に図の説明をする際にこのことを忘れがちなため、注意が必要です。

例えば図の中に矢印が複数ある場合は、「arrow」ではなく、「arrows」を使用します。同様に、複数の棒からなる棒グラフに言及する場合は、「solid bar」ではなく、「solid bars」を使用するようにしてください。

Example:

  • 「We obtained a biopsy(生検サンプルを得た)」は、ひとつの生検サンプルについて説明しています。
  • 「We obtained biopsies from eight patients…(8人の患者から生検サンプルを得た)」では、これらの生検サンプルが既に読者に紹介されていない限り、冠詞は不要です。しかし、既に紹介されている場合は、「We obtained the biopsies …」というように、特定した形で言及する必要があります。

アクセプトの可能性を高めるための留意点

次の点に留意することで、研究が出版公開される可能性が高まります。

  • 3つのC(明確さ、簡潔さ、正確さ)を適用する
  • 繰り返しや冗長性を排除する
  • 各文章の意味が可能な限り明確になるよう、細部にまで気を配る
  • 短く、平易な文章にする
  • 再読して校正する

まとめ

本ブログでは、多数の例を交えて、日本人著者によくある科学英語のミスをご紹介しました。元々高い英語のライティングスキルとコミュニケーションスキルを持っている著者も、そうでない著者も、投稿前の英文校正の重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。エダンズでは皆さまの大切な研究成果が、科学英語を理由にリジェクトされる事態を事前に回避するため、厳しい審査を突破したエダンズの専門エディターが、専門家にふさわしい科学英語になるようお手伝いいたします。また、これからのホリデーシーズンに向け、査読プロセスに時間がかかる事が予想されますため、科学英語を理由にリジェクトされる事態を事前に回避するためにも、投稿のタイミングやスケジュールなどアクセプトへ道に潜む様々な要因に留意し、ぜひ目標達成を実現してください!

新たな知見や技術への道を切り拓く研究者・著者の皆さまを、全力でサポートします

エダンズは、皆様が取り組む研究分野における研究のギャップを見つけだし、論文の校正、最適なジャーナル選択、そして研究の影響力を最大限に高めるためのコンテンツ作成まで、研究の全サイクルで一貫したサポートを提供します。多忙を極める研究者の皆様が直面するあらゆる問題に対して、エダンズの専門家チームが徹底した支援を行います。詳細は、研究者向けサービス英文校正をご覧いただき、ご不明な点等ございましたらこちらまで、お気軽にお問い合わせください。