データ抽出と解析の実行

研究の検索と選択

組入れ基準と除外基準に従い研究を検索するためには、少なくとも二人のレビュアーが必要であり、ボーダーラインにあるケースについては話し合います。Κ統計量(カッパ値)は、レビュアー間の合意を表すために報告が必要な場合があります。研究を除外するのに タイトルと抄録で十分なケースもありますが、論文の全文を検索し、読むべきケースもあります。詳細が不明瞭な場合は、原著の著者に連絡し確認を取らなければならない場合もあります。

関連データの抽出について

要約表は方法、対象となった研究について、研究/サンプルの特徴、介入、治療群、主な評価項目、データ解析から得られる主な結果を含め、主要な特徴を記載します。要約表は、グループによる比較やや変数の比較をしやすくします。システマティックレビューの解説のセクションで示される表は、通常いずれも似ています。

研究品質の評価について

研究は、研究方法、プロトコルの改訂、バイアス、不備ならびにランダム化が適正か(ランダム化比較研究の場合)を評価されます。質の低い研究や、重複したデータは除きます。もし、不完全であるものの有益なデータがあれば、原著の著者に連絡し、被験者の募集やランダム化に関するプロトコル等の不足したデータや生データの情報を求めます。研究支援者・出資者に連絡を取り、問題となる事項を明らかにし、関連する未公開のデータを提供してもらうことも可能です。

データの解析

選択された研究のデータ解析を実施します。定性的解析においては、一般的な特徴、バイアス、研究内および研究間の関連性を特定し、解説します。結果の解釈として、限界、対立する解釈、エビデンスの評価、臨床における推奨および将来の研究の方向も示します。

定量的解析(メタアナリシス)においては、データをプールした上で、事前に定めた検定法で統計学的に検証します。効果量(例:オッズ比、リスク比、ハザード比、リスク差を95%信頼区間と共に示す)も同様に計算します。

フォレストプロットとファンネルプロットを生成する

結果は、通常、解析に含まれる研究および全体の効果量と方向を示すフォレストプロットで表示されます。

追加の解析は、研究のばらつき(異質性)を検証するために行われ、必要に応じて結果の重み付けをします。研究間で変数に違いが生じた場合(例:用量、年齢、タイミングなど)にサブ解析が必要になることがあります。解析の頑健性は「固定効果」と「ランダム効果」の両方のモデルで検証されます。

フォレスト・プロットの例1

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Generic_forest_plot.png

フォレスト・プロットの例2

(論文の図2)
https://rbej.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12958-019-0460-4   

出版バイアスと異質性は、ファンネルプロットで視覚化出来ます。バイアスが懸念される偏りの可能性がある研究や、特に大規模な研究には、感度分析(例:特定の研究を除く前後に解析を行う)によって検証することができます。

ファンネルプロットの例1

https://en.wikipedia.org/wiki/File:Funnelplot.png (Public Domain).

ファンネルプロットの例2

https://ijponline.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13052-018-0586-6 

さらに詳しく学ぶ

次のコースSLR4: Performing Systematic Reviewsで、データ抽出と解析について、さらに詳しく学ぶことができます。

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